さつまいもFarmer’s

Farmers of the year 2020-2021

二川農園

二川貴一

紅はるか

茨城県ひたちなか市

さつまいもを栽培する上での工夫やこだわり

さつまいもの栽培でこだわっていることは、主に4点あります。

1つ目のこだわりは、土壌分析に基づく定植計画です。当農園では、畑の土壌分析を行なっています。各畑の土を採取し、分析機関に送り、土壌pHや窒素リン酸カリの計測を行います。その結果を考慮し、肥料や農薬の種類、量を調整した定植計画を立てています。時間と手間はかかりますが、その畑の100%のパフォーマンスを引き出す為、一律ではなく、各畑に合わせた定植計画を立てることにこだわっています。

2つ目のこだわりは、鶏糞堆肥を用いた土壌づくりです。1つ目のこだわりの中で立てた定植計画の中で、適宜鶏糞堆肥を用いるようにしています。十分に発酵させた鶏糞堆肥を用いることで、土壌に微生物の動きを活発化させ、前述の栄養素を土壌に作用させています。特に思うように収穫量が上がらない畑には鶏糞堆肥を使い、前年比での効果を確認しています。

3つ目のこだわりは、減農薬栽培です。当農園では、段階的な減農薬栽培を目指し、今年度は10aあたりの規定量の半分の農薬を使用して栽培を行いました。単純に農薬の量を減らすのではなく、試験的に穀物酢を用いた天然の土壌殺菌を行ない、微生物を殺さずに土壌洗浄をする取り組みや、苗の成長段階に合わせ計画的に農薬を使用することで減農薬に取り組みました。栽培コストの削減と減農薬栽培の取り組みは、時に相反することもあり、その両立が今後の課題です。ですが、今後取り組んでいくべき有意義な取り組みであると考えています。

4つ目のこだわりは、マルチの取り扱いです。当農園では黒マルチを使用し、畝上げとともにマルチを貼り、夏場、苗の成長度合いを考慮したうえでマルチを剥がすことにしています。理由としては、ある程度の段階でマルチを剥がすことで、さつまいもに水分をよく行き渡らせる狙いがあります。水分を多く取り入れ、糖度の高いさつまいもを栽培しています。当農園のさつまいもは、収穫後ほしいもに加工するものも多く、マルチを剥がし水分を多く取り入れたさつまいもは、ほしいもに加工した際も、より甘味を感じる食味の良いものに仕上がります。

以上がさつまいも栽培における、4つのこだわりになります。まだまだ若手農業者ですので、足りない部分も多いと思います。既存のやり方も取り入れつつ、慣習や常識に囚われず良い方法を常に吸収していく姿勢を持つことも、農業者としてのこだわりです。

さつまいもの市場規模に少しでも影響を与えるような新たな価値を、時間をかけて創出していきたいです。その上で、まずは主に生産と販売の両翼において、毎シーズン小さなチャレンジをたくさんしていこうと考えています。

生産においては、計測できるデータは記録としてすべて残し、管理やスケジューリングによってコスト削減や効率向上をより目指していきたいと考えています。天候など外部の要因に左右されやすい農業においては、スケジュールの狂いは付き物だと思います。データを活用し俯瞰して生産の流れを把握し、なるべく狂いや無駄を減らせるようにコントロールしていく方法にチャレンジしていきたいと思います。また、配置や作業前の準備など、少しの違いが積み重なって無駄につながると思います。日々の作業のなかで、これまでの慣習や常識を疑うことを忘れずに、常に方法をアップデートしていきたいです。

販売に関しては、よりコミュニケーションに重点をおいた販路を開拓していきたいと考えています。焼き芋やふかし芋などに限らず、食べ方まで提供できるような販売方法を目指しています。「小さなサイズのさつまいもを使って朝ごはんにこんな食べ方ができるよ」「さつまいもを皮と一緒にこんなふうに食べると健康や美容にいいよ」といったような、売ったら終わりという姿勢ではなく、商品が届き消費していただくまでを提案できるような、そんな販売をしていきたいと考えています。購入の理由、心理をしっかりと分析し、それを多様化させて提案していくことで新たな価値を創出し、機会の創出にもつながると思います。また、自分たちのこだわりがしっかりと伝わる方法、こだわりを持って扱ってくださる方々(卸先)、当農園のさつまいものクオリティにプライドを持って販売をしていけるような形を少しずつ作っていけたらと思っています。作り手、売り手、買い手というものが断絶されたものではなく、さつまいもに関わる1つの共同体として、三者三様のこだわりを持って関わる形が最終的な生産から販売、消費に至るまでの理想の流れだと考えています。偏りのあるものではなく、均衡を保ちながら段階的に取り組んでいければと思います。

今後のビジョンは、発展途上のものであり簡単なことではないと思います。

ただ取り組む価値のあることだと考えています。まずは小さなタネを少しずつでも撒き続け、立ち止まらない農業を目指していこうと思います。

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